ドローンは過疎地の救世主になれるか!?

 西濃運輸を中核企業に持つセイノーホールディングスが、ドローン物流に本格的に参入した。ドローン配送サービスを主軸とする子会社を持つエアロネクストと業務提携を結んだことを発表した。

 セイノーHDはかねてより、中期経営方針で、物流のDX(デジタルトランスフォーメーション)化による生産・在庫・配送の最適化、自動化、無人化によるスマートサプライチェーンの実現をグループの全体戦略として掲げている。

 今回のドローン物流への参入も、そうしたDX化の一環である。

 既存の物流とドローン物流を連結・融合させ、スマートサプライチェーン「SkyHub」構築を目指すとしているが、SkyHubの仕組みはというと、EC事業者などが利用者から注文を受け付けると、商品が出荷され、西濃運輸の配送センターへ届けられる。そこからさらに仕分けされた商品が、ドローン用のデポへ届けられ、そこからドローンが配送を担い、ドローンスタンドに届けられる。利用者はそのドローンスタンドに商品を取りに行くという流れである。

 都市部では、トラックによる宅配ネットワークが構築されており、商品の配送は滞りなく行われているが、問題は郊外や地方で、特に過疎地などでは、届ける荷物の絶対数が少なく、また届け先が点在しているため、トラックでの配送は効率が悪く、採算が合わないという課題を抱えているのが実情で、過疎地対策は宅配業者にとって大きな課題でもあった。

 それだけに、今回のドローンでの配送がうまくいけば、過疎地対策という課題への突破口となる可能性もあるといえる。

 地域活性化と新スマート物流の社会実装に向け、すでに山梨県小菅村と連携協定しており、同村で実証と実装実験を行っていくというプロジェクトをスタートさせている。

 同社では、今回の同村での実証と実装を経て、順次エリアを拡大していき、全国への拡大を目指すとしている。

 過疎地にとって、ドローン物流が救世主となるかもしれないだけに、その動向が大いに注目されるとともに、期待もされるところ。

 さらに、同社の今回のドローン物流への参入は、同業への影響も少なからずあるはずで、ドローンをはじめ、省人化や効率化、さらに進んだ自動化や無人化など、デジタル化が加速する可能性も否定できない。

 長時間労働やドライバー不足など、課題が山積する業界にあって、生産性の向上は必要不可欠であり、今、最優先に取り組まなければいけないことでもある。

 自動倉庫や自動仕分け機など、倉庫では自動化がすでに進んでいる。さらにフォークリフトやトラックの自動運転の技術開発も着々と進められている。今回のドローンにさらに配送ロボットと、デジタル技術の進展は目覚ましい。

 道路交通法の改正が必要など、業界のおける本格的な自動化には、まだまだ時間がかかるという専門家もいるが、取り巻く環境次第では、時間短縮も大いにありうると思う。

 そう考えると、今後、物流業界でもDX化が急速に進んでいき、アナログ業界からデジタル業界へと大きく変革していくのかもしれない。  「ドライバー不足で困っていた時代もあったなあ」と振り返る日もそう遠い未来ではないのかもしれない。

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