物流DX推進の節目の年になる!?

 DX(デジタルトランスフォーメーション)に注目が集まっている。DXというこの言葉は、もともとはスウェーデンのウメオ大学教授のエリック・ストルターマン氏が2004年に提唱したとされ、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念のことだ。 

 ビジネスでいうと、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、サービスやビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化、風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」となる。

 ITを活用して、市場における優位性を確立するということだ。

 物流におけるDXというと、例えば、物流センターでは、機械を導入し、入出庫作業をその機械に任せるなど省力化を図り、それによって効率化、生産性を向上させる。そうして市場での優位性を確立する。

 一方、運送では、例えば、トラックにGPSを搭載し、逐一位置情報を把握できるようにし、それによって積載効率の向上や、輸送品質の向上を図り、市場での優位性を確立する。

 いずれもほんの一例に過ぎず、ほかにもIT化によって、サービスや業務、社内の変革を図る事例は枚挙にいとまがない。

 今年は、こうしたDXが加速する年でもあるのではないかと思う。昨年2月ころから国内で新型コロナウィルス感染が広まりはじめ、4月には緊急事態宣言がでて、経済活動が一時ストップした。その後、感染者数は落ち着くかに見えたが、結局、昨年後半に感染者が拡大傾向に転じると、GOTOトラベルが拍車をかけ、東京都内で1日に1000人を超える感染者が出るなど、まだまだ予断を許さない状況が続いている。首都圏では緊急事態宣言の発出も時間の問題ともなっている。

 まさに、人々がマスク着用はもとより、蜜を避けるという行為が当たり前となり、人と人が接しないような仕事にシフトされていく可能性が捨てきれない。ということは、どういうことかというと、機械化や自動化によって、人に頼らない体制が確立されていく可能性が高くなるといえる。

 飲みにケーションと、人と人とのつながりが必要不可欠だったものが、もしかすると、オンラインでのやり取りがそれに取って代わっていくかもしれないし、強制的にそうせざるを得なくなるかもしれない。

 人類の歴史は、便利さを追求する歴史と考えれば、DXはまさに進んでいくというのが必至だと言え、新型コロナウィルスが、それに拍車をかけることも十分考えられる。

 昨年暮れに国土交通省は、2021年度予算を内示したが、それによれば、物流生産性の向上の推進に対し、7400万円と、前期よりも2400万円も上乗せした。自動配送ロボット制度の整備を新設し、2000万円の予算を立てとともに、サプライチェーン効率化も新設し、62億円の予算を立てている。明らかにDXを意識した予算を立てているのだ。

 国の後押しを受けて、DXは進み、物流業界にも大きな変化となって表れてくる。もしかすると、その節目の年が今年になるかもしれない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました