物流は奥が深くて魅力的

 新型コロナウイルス感染拡大の中にあって、物流がさらにその重要性を増している。

 メーカーがどれだけいい商品を作っても、それが必要な人へ届かなければ意味はなく、いうなれば単に無用の長物となる。しかし、それがしっかりと必要なユーザーや消費者の手に届いたとき、その商品は大きな価値を生み出す。その役目を果たしているのが物流なのだ。

 例えば、今や多くの人が手に持つスマホもそうだが、スマホは国内あるいは国外の工場で作られる。部品の調達にも物流が絡むが、それはさておき、工場で作られた後のことをいうと、国内工場であれば、まず生産されたスマホは、倉庫に保管され、出荷を待つことになる。そこに注文が入ると、出荷作業を経て、小売店などに届けられ、最終注文者である消費者の手に届くことになる。一方、海外で生産された場合は、まず、倉庫で保管されたのち、海外の港まで運ばれ、通常コンテナに積まれて、船で運びだされる。日本の港に到着した後、保税倉庫に保管され、通関の完了を待つ。通関が完了したら、メーカーのセンターなどへ納品され、そこからは国内の時と同じような運びになる。

 以上のことからわかるように、商品が作られて、それが最終消費者の手に届くまで、そのほとんどをこなしているのが物流なのである。いわば経済活動の根幹を支えているというのが実情で、物流なくして経済活動は成り立たないということである。

 といっても、物流は奥が深い。ただ運ぶということだけではなく、保管もあれば入出荷作業もある。また梱包などの物流加工もあれば、在庫管理まで幅広い。

 ただ、物流に対するニーズは簡単で、必要なところへ必要な分だけ、いかに安全に効率よく、そして低コストで届けられるかということになる。しかし、その簡単なニーズも、なかなかその追及は難しい。例えば、納品に対して時間指定なるものがあるが、注文する側からすると、必要な時に必要なものが届くということでいいことだが、納品を請け負うところは、その時間指定のために、効率の悪い配送を強いられるということもあるのだ。どちらかを立てればどちらかが立たなくなる。そんなケースは枚挙にいとまがない。それぞれの立場があるので仕方がないのだが、ニーズがわかっていても、その追及の難しさがあるということだ。

 しかし、言い換えれば、難しさがあるからこそ、追及のしがいもあるということもいえる。

 経済活動の根幹を支え、目立たずに人々の暮らしを守っている。縁の下の力持ちというところだが、物流はどうしても裏方稼業になるので表には出にくい。阪神淡路大震災や東日本大震災など、有事にこそ表舞台に立ち、力を発揮する物流は、今のコロナ禍においても、エッシェンシャルワーカーとして、貴重な役割を果たし、そしてこれからも果たし続けていくだろう。

 物流は奥が深く、魅力的な業界である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました